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10月28日 団体交渉報告<継続>
ボーナス0.35ヶ月引き下げ、本給0.2%引き下げに反対し、給与改善を求めて

※文責は組合にあります。見出しも組合にてつけました。

2009年10月28日(水)15:30 - 18:45
本部第1会議室

※平成は固有名詞を除きすべて西暦に変えました。

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議題 2009年人事院勧告に伴う給与の取り扱いについて

■人事課長補佐 これから団体交渉を始める。組合から発言する。

□組合 前回の第1回交渉で双方に大きな隔たりのあることが確認された。法人側の説明について時間不足で十分な質疑ができなかった。今回は前回からの継続として進める。内容に入る前に、組合から発言しておきたいことがある。高橋副委員長、本郷書記長から発言する。

団体交渉とは
□組合に対してどういう考えで臨んでいるか?
■責任をもって根拠を示して、互いにどうするか決めていく場

□組合 交渉に何度も参加している。理事に確認したいことがある。組合との交渉の場で、過半数代表者や部局長と違って、組合だからこそとして意識していることをはっきり述べてほしい。我々はこの場をいろんな意見を聞くということだけではなく、交渉だと思って臨んでいる。しかし話がかみあわないし、実現しているものもない。法人案がそのまま通っている。組合に対してどういう考えで臨んでいるか、聞きたい。

■折原理事 組合との交渉と、たとえば過半数代表者や事業場長との会議とどう違うか、組合にはどのようなつもりで臨んでいるかという話と思う。いろいろ違いはある。どの組織も大学の発展のためにある会議だ。事業場長はほぼ部局長だ。法人側の意思決定の途中で話を伺って、法人としての案を決める、打ち合わせの場だ。その後、立場をかえて事業場長・過半数代表者との会議は、法人の職員として意見をきちんと聞く場だ。組合とは、交渉なので、法律に基づく組織として、法人案についてきちんと責任をもって根拠を示して話していただき、法人側も根拠を示して話し、互いにどうするか決めていくという場と思う。そういうことをわかっていながら、ともすると法人側が、法人案が正しいのだから理解してくれと言うことが多すぎるのではないかという質問かと思う。法人案は法人として詰めてきた案なのでそういう気持ちはある。他方、詰め切れないところや、組合の意見を聞きたいところもある。その時は意見を聞きたいと言っている。皆さんがより良く理解した上で、実効ある案を作れれば良いと思っている。

□組合 前回の交渉でも、(他の理事に)組合寄りだと言われているという発言もあった。私たちは理事がこのことについて決定権をもっているというのが前提だ。他の人に組合の意見を言ったが、否定されたからやめたというのは、決定権があるとは思えない。その場合、決定権のある人と話をせざるをえなくなる。理事は決定権があると思っているか。
 (今回の交渉で)6月期のボーナス凍結の際に、優秀者の割合を増やして対応したという説明があった。6月の交渉の際には、代償措置のような発言は一切なかった。今になったらあったという。12月期にもするかもしれないがはっきりしたことは言えないという。代償措置の説明は交渉の場で求めていたものだ。実際には支給しない代償として優秀者の増員が行われた。交渉で案としてでも出ていたのならばわかる。それが一切ないまま次の場面では違うことが行われている。我々としては、得られた答えがあまりに違うと不信感を抱く。アイディアを出し合ったり、何か前向きな方法がないかということを議論して決めていく。つまり合意だ。それがないと交渉にならない。それをきちんと意識してほしい。

■単に意見を聞くというつもりではない

□組合 団体交渉は、組合のトップと大学のトップの交渉だ。折原理事が権限をもって交渉に臨んでいるのだと思う。理事就任当初はわからないという対応もやむを得ないが、トップの判断としてやってもらいたい。本来ならばトップ同士が最終的には妥協して書面で労働協約を締結するのがベストだ。3年書記長をしているが、交渉のたびに組合の意見を聞いているだけと感じた。今回どういう考えでいるかが聞きたい。

■折原理事 法人の決定権者は役員会であり、総長だ。私は総長から権限の委任を受けてきている。その意味で私が権限を持っている。その権限の範囲も、法人のいろいろな会議で積み上げてきたことを材料として総長が決定し、その中で私が代表してここに来ている。その過程でなかったことや、まったく想定していなかったことが出ると、総長から権限を受けた代表だといっても答えられないことがある。理解してほしい。それが前回の目的積立金の話だ。今日はそれをフォローして説明する。
 意見を聞くのではなく、互いに、よくわかってもらうことが大事だ。法人がなぜそう決めたかということをわかってほしい。それについて組合がなぜこうするかということを、我々にわかるような形で話してほしい。そうしてもらっていると思う。単に意見を聞くというつもりではない。
 6月期の優秀者の件について。6月期は凍結だったので、予め代償措置として行うと話すことはしなかった。議事録が学外にもオープンになっているので、私の立場では言えない。6月期にそれをしたことは事実だ。マイナスにしたことを黙っていたということではない。プラスになることをした。互いにできれば納得して、できるだけ合意して大学全体が気持ちを一つにして進んでいくのが一番よい。

□組合 組合が団体交渉についてどう考えているかは二人の発言からわかってもらえたと思う。理事も誠意をもって答えるつもりだと言ったと思う。その誠意を具体的に回答の内容によって確かめたい。それでは継続交渉の内容に入る。

目的積立金について

■折原理事 目的積立金について前回の宿題だった。説明がきちんとできる人が良いので、財務課長にきてもらった。これについて説明・質疑を行いたい。

現金の裏付けのある積立金(残)、約80億。

■財務課長 資料は部局長連絡会議資料の「目的積立金等による執行計画について」だ。すでにhp(http://www.bureau.tohoku.ac.jp/somu/secure/kaigi/2110/bukyokutyou211020/4.pdf)にアップしているものについて説明する。まず数字についての誤解があるかと思う。その点を訂正・説明する。組合から、現在まで約133億円の積立がある、という質問があった。財務諸表もhpにアップしているので、それを見て133億円と提示されたのだと思う。その中に、いわゆる現金の裏付けのない、国立大学法人会計独特の数字で約30億入っている。今の段階では133億ではなく、2007年度末残高75億9,800万と、予定として2008年度剰余金予定29億400万。2008年度については予定であり、文科省を通じて財務大臣承認が12月以降にある予定だ。この2つの合計額約105億円が2008年度までの目的積立金の本学の総額だ。その内、2008年度までにすでに約25億使っている。「学内財源を活用した新たな整備手法による建物整備計画」の2008年度実績として20億7200万。「部局執行計画」の2008年度実績として7,687万円、「川内北キャンパス整備経費」である武道場整備経費等として2008年度実績で5億2,200万、この合計約25億をすでに使っている。現金の裏付けのあるものとして残っているのは約80億だ。(上記説明より組合にて、下表に簡単に整理)

項目金額内訳
2008年度までの目的積立金約105億円2007年度末残高75億9,800万
2008年度剰余金予定29億400万
2008年度までに消化約25億「学内財源を活用した新たな整備手法による建物整備計画」の2008年度実績20億7,200万
「部局執行計画」の2008年度実績7,687万円
「川内北キャンパス整備経費」(武道場整備経費等)の2008年度実績5億2,200万
目的積立金の残約80億 

この目的積立金にかかる計画についてポイントを3点説明する。

繰り越しは認められないと考える

(1)目的積立金については、2009年度で第1期中期計画が終了する。第2期中期計画への持ち越しについて質問があったが、いまだにそれに対する正式な連絡はない。民主党政権にかわり、行政刷新会議等々で国立大学法人の目的積立金についても厳しくチェックが入るという情報がある。当然、大学の運営としては、2009年度から2010年度への繰り越しは認められないと考えた方がベターだと認識している。もし2009年度末で剰余金を発生させたら、国庫納付になるだろうと想定している。

償還可能なもの

(2)目的積立金による執行計画の中の(1)〜(7)については、すでに3月の学内諸会議で審議している。その当時の役員会等々の資料はhpにアップしている。それも見てほしい。今回目的積立金を取り崩して建物整備計画に使うのは、当然、東北大学の教育研究の進展に資するものだが、もう一つの観点としては、償還可能なものということを選定の理由にしている。(1)〜(13)の整備計画の中で、(6)川内厚生会館増改築、(9)片平北門周辺環境整備、(10)雨宮キャンパス暫定整備、(11)川内体育館耐震改修については資金を回収することはできないが、その他は、競争的資金の間接経費や施設使用料等で後に資金を回収するという仕組みをもって学内諸会議の了解を得ている。86億余りをそのまま投資するということではない。その半分以上を後年度に回収できることを念頭において計画を立てている。

□組合 何年くらいで回収する予定か。

■財務課長 事項により異なる。当該部局と詰めている。現段階では明快に回答できない。3月当時の資料には一部について回収の見通しを載せているので、その部分についてはhp(http://www.bureau.tohoku.ac.jp/somu/secure/kaigi/2103/yakuinkai%20210327/3.pdf)を見てほしい。

プールする必要がある。

(3)運営費交付金の今の配分ルールだと、人勧が上がろうが下がろうが運営費交付金の配分に影響はない。ただし、一律、効率化係数1%減、病院の経営改善係数2%減がある。何もなければ本学は毎年9億円ずつ運営費交付金が減額される。2010年度以降どうなるかは、行政刷新会議で厳しくチェックしているのでさらに厳しい状況になると予想している。今までのように人勧が下がった時には運営費交付金の剰余金が発生するが、もし人勧が上がった場合、その財源をどうするかと言えば、下がったときの余った分をプールする必要があると考えている。

「第2期に繰り越せない」+「リスク管理(人勧)」=「財務計画(執行計画)」

□組合 プールしなければいけないと言いましたね。

■財務課長 プールしなければいけないとは、上がった時にプールしているものがなければ対応できない。毎年予算が下がっている。ある年、人勧が上がったとする。その通りに給与を上げたいが、事前に準備しないと原資がない。第1期から第2期に繰り越せないとなれば、大学の中で使わざるを得ない。使った上で、人勧をリスク管理というべきかどうかはともかく、将来のリスク管理のために、資金をどうやって確保するかの方策をとらなければならない。その観点からも、執行部の方で、目的積立金の執行計画として財務計画を立てた。それが3月の役員会等々から議論されてきたのだろう。7帝大もほとんどhp等々で公表している。どの7帝大も100億以上の目的積立金は発生している。建物整備計画等々で執行しているだろう。どの大学も、将来のことを考えれば同様ではないか。目的積立金に関するおおよそのスキーム、考え方は数字としては事実だ。そこだけ説明した。

2009年度予算剰余予定額(約8億)は捻出の必要な額

□組合 関連して2、3聞きたい。

■折原理事 財務課長には役員会で決めた目的積立金の執行計画について説明するためにきてもらった。これについての質問を最初にお願いする。

□組合 関連する。第一に、同じ資料に、2009年度予算剰余予定額がある。約8億円だ。

■財務課長 説明を補足したい。2007年度までの本学の目的積立金の確定額は約76億であり承認されている。2008年度の約29億円は申請中であり未承認だ。執行計画はこの2つについて概ね執行するために立てたものだ。現在の予定額通りに全部執行しようとすれば、2009年度の予算から8億程度充てなければならないという意味だ。2009年度剰余予定額が8億あるというわけではない。

□組合 もっとあるかもしれないということか。

■財務課長 今、財務課から各部局に照会を出している。先ほど、2009年度から2010年度に繰り越せないことを想定して仕事をしていると説明した。余る部局もあれば、前倒しで使いたいという部局もある。大学全体の中で調整したい。

□組合 つまり8億とは見込みではなく、執行計画からすれば、これくらいは捻出しなければ困るという金額だということか。

■財務課長 はい。

□組合 過去5年間の実績からすると、通常ならば約20億は出るだろうと私は予測するが。

■財務課長 過去の実績からすればそうだが、各部局にとっては、次期に繰り越せないのでなるべく使うべきだということもある。

□組合 繰り越せないことはわかっている。執行計画について心配していないのか。たとえば20億余ったらどうするか。

■財務課長 それは心配していない。全学として多額の金額が余らないように全体として調整している。

□組合 できるのか。

■財務課長 仕事なので。

■折原理事 大学のためにやらなければならない。当然、余る部局と間に合うかわからない部局がある。必要なことはやらなければならない。融通し合ってやる。昨年までは繰り越せたが今回はおそらく繰り越せないだろうから、そのような調整が学内で行われる。

教員人件費の残は持ち越し

□組合 もう一つ。繰り越し可能かどうかは、国対東北大の話だ。他大学も含めて。他方、大学内部のこととして、たとえば教員人件費はいわゆる渡し切りとしている。どの部局も少しずつ残っているはずだ。それが本部にプールされているだろう。それは、学内措置としては持ち越しとなるか、それとも一度清算となるか。

■財務課長 今のルールでは持ち越しとなる。各部局で持ち越せなければ大変なことになる。それも含めてこの計画を立てている。

□組合 学内措置としては持ち越しにするということか。

■財務課長 当然だ。つまり今のルールでは持ち越しとなる。ルールが変われば変わる。

償還計画

■財務課長 先ほどの説明の中で、もし人勧で上がった場合に、上げる財源が生み出せないと大変なので、その場合も想定して回収する仕組みだということだ。(ただし)人勧が上がった時に、上げるという風に決まっているわけではない。

□組合 それでは踏んだり蹴ったりだ。

■財務課長 単に、そういうことを言ったつもりではない、という意味だ。

□組合 この回収計画はhpに載っているのか。

■財務課長 3月の役員会資料だ。(1)インテグレーションラボ棟、(2)プロジェクト総合研究棟、(3)片平エクステンション棟、(4)旧西病棟、(5)未来科学技術共同研究センターについては、償還計画もhpに載っている。今後の償還計画は部局の財政とも関わるので、早めに回収する場合もあり得るし、若干長くなる場合もあり得るが、必ず償還するということで償還計画を立てている。

□組合 わかった。

教員人件費は部局に残り、次期に持ち越せる。リスク管理のためも可。

□組合 今の話を聞いて色んなことを考慮していることがわかった。心配しているのは、たとえば人件費5%削減目標についてすでに約9%達成だ。今回もしボーナスを下げればまた人件費が余る。そのお金はどこに行っているのか。今回下げた分は何に使うのか。計画の中に盛り込まれているのか。浮かせた余剰金は、いずれは回収するのか。

■財務課長 教員人件費については、今は、余ったお金は部局に残り、残ったお金は次期に持ち越せる仕組みだ。おそらく各部局の部局長のマネジメントになるだろう。想定するに、各部局でも後任人事、今後人勧が上がった場合、定年延長の場合等いろいろあるので、そのために残しているのではないか。目的積立金は一度使わないと国庫納付となるので使うが、戻ってくる。部局が使う時に使えるようにしている。

□組合 今回のボーナス引き下げ分について、執行計画を部局で考えておくようにという話が出ているのか。

■財務課長 使うかもしれないし、部局長の判断でリスク管理のために次期に余しておく部局も出てくるだろう。執行計画が立っている部局と、立っていない部局があるだろう。

低いところを基準にさらに削減スタート!?

□組合 期が変わる時の問題がもう一つある。人件費5%削減だ。今は2005年度を基準にして5%下げよというものだ。2010年度は、第2期のスタートポイントを基準にしてそこからさらに下げよということもあり得るのではないか。すでに約10%削減しているのに、さらに低いところを基準に削減をスタートさせられるということが十分考えられる。今回も本給を0.2%下げるという話だ。不利な条件をわざわざ受入れる方針だ。人件費のパイがあまり目減りしないようにしておけば、次期の執行にも余裕が生まれる。人件費の部分を人件費で返してほしいというのはそういうことだ。建物に消えたら、わざわざ首を絞めて、さらに首を絞めることになる。執行計画は建物ばかりだ。そうでない計画が必要だ。人件費を減らすことは、経営的にはメリットがあるかもしれないが、健全な経営とは言えないのではないか。最後の1、2年は工夫が必要だ。

交渉のポイントは、「(人勧以外の)その他諸々」だけ?

■折原理事 給与については、本学の基本方針がある。その中で「人事院勧告を有力な参考資料として基本におきながら決定する」と書いている。少なくとも、人勧以上に給与を下げるということはしていない。それはやってはいけない。法人化前までは国の給与体系だった。その後も準則的にしてきた。人勧を有力な参考資料とすることは、本学の財務の枠組み、性格、役割、使命を考えたら仕方がない部分がある。その他の諸々の要素でどうするかが、いつも交渉のポイントになるということだと思う。単にお金が余ったからということではない。9%を強調されるが、人勧以上に下げて人件費を削って貯金したのではない。部局のとくに教員人件費の(渡しきり分と実際使用額との)乖離部分、(雇用形態を)プロジェクト(での雇用)に移すこと、事務職員については非常勤にする等で、瞬間風速としてこうなっている。

非正規職員やプロジェクト教員の給与等に使っている

□組合 目的積立金が何10億となった中で、人件費削減で浮分はどれくらいになっているのか。たとえば5%削減目標に対して超過して浮かせた分の4年間、5年間のトータルといった数字でよいので示してほしい。

■折原理事 2005年度を基準にして2006年度から5年間で5%削減が義務だ。終わっていない。2010年度に終わる。その時に5%達成していないと約束違反だ。今は、その過程の数値だ。いろんな要素が入ってそうなっている。どのくらいの金額かというと、2005年度の人件費から9%分だが、非常勤とかプロジェクト教員の給与とかで使っているので全額余っているわけではない。退職者台帳分の経費での計算だ。9%の分がそのまま余っているとか、建物に消えているという話ではない。

【組合注:目的積立金となる剰余金の捻出は人件費の節約によるものだ】

 本組合の調査によれば、剰余金のうち7割は人件費の節約によるものです。人件費の中でも教員人件費によるものが6割と圧倒的ですが、それ以外の職員の人件費分も1割以上を占めています。なお、人件費の節約による剰余金の捻出は独り東北大学だけの特徴ではなく、ほとんどの国立大学法人に共通するものです。

職員人件費2.4億は、執行計画に含まれていない

□組合 その話はまた後でする。財務課長の説明の中で、確認しておきたいことがある。8億円については、執行計画と目的積立金の差額として計算されたものという説明だった。そうすると、今回の人勧を実施した場合、節約されることになるのが7億だ。そのうち教員人件費は部局渡し切りなので除外するとして、残りの2.4億円は、本部管理の職員人件費に相当する。これはまだ執行計画の中にはまったく含まれていないということですね。

■財務課長 それでよい。

□組合 次の課題にいく。

□業務の実績は、どのように考慮されたのか?
■法人評価委員会の評価や決算書だ。

□組合 前回の交渉で法人側は労働契約法第10条に即して就業規則を変更する合理的な理由について説明した。これに関連して確認したい。就業規則の変更が労働契約法第10条にいう合理的なものであるという立証責任は使用者側にある。それは厚生労働省の見解だ。前回の説明だと、立証されていると我々は考えられなかった。独立行政法人通則法第63条の中に、「業務の実績を考慮し、かつ、社会一般の情勢に適合したものとなるように定めなければならない」とある。業務の実績についてはどのように考慮されたのかの説明がまったくなかった。これを説明してほしい。

■折原理事 業務の実績については、国との関係では、中期目標・中期計画に基づいて仕事をしている。大学の中では大学を発展させるために井上プランがあり、それに基づいて仕事をしている。この2つができるだけいっしょになるようにしている。表現は違うが、内容としては同じだと思う。中期目標・中期計画については法人の評価委員会に出し、井上プランについては報告書を出している。その自己実績について具体的に他の人がどう見ているかは、法人評価委員会の評価や決算書だと理解している。

□業務の実績は大変良い。
■法人化前よりも上げていかなければいけない。

□組合 業務の実績は大変良いと思う。もともと東北大学の職員の人件費はラスパイレス指数でいうと低い。業務の実績はいいのになぜ公務員に近づけないのか。ラスパイレス指数は地方公務員でも計算されている。一番低いのは夕張市で67.いくつだが、業務の実績を考慮すると仕方がないという見方もある。他は90や100を超えているところがたくさんある。本学は88.8のまま低いところにおいておくような業務の実績ではない。

■折原理事 当然、上げる努力をしなければいけない。法人化前に比べると上がっている。引き続き上げる努力はしていく。単純に国全体を100とすると本学は88.8だが、本学としては法人化前よりも上げていかなければいけない。ただ100に対してどうだとストレートに結びつくのではない。

文科省から直接、要請があったのか?

□組合 これについては、文科省に問い合わせて確かめたので、後で意見を言う。法人側が2番目に挙げた理由は閣議決定だ。8月25日の閣議決定のことだと推測する。国立大学法人にも要請されたと言った。国立大の管轄は文科省だ。文科省から直接そのような要請があったのか。

■折原理事 8月25日の閣議決定だ。全閣僚が集まって決定したということだ。所管である官房長官から各省の大臣にきちんとそれにそった取扱いをするようにという文書が出る。それが出ると文科大臣から該当する独立行政法人、この中に国立大学法人が含まれるが、こう決まったという文書が流れてくる。

□組合 要請があったということか。

■折原理事 調べるので時間がほしい。【人事課長が手持ちのファイルを調べ始める】

人勧に従えとは一言も言っていない。私も言っていない。

□組合 関連して、要請があったという場合に、その内容は何か。閣議決定の文書が、部局長連絡会議や役員会の参考資料に抜粋で入っている。たとえば3(4)にアンダーラインが引いてある。「国家公務員の給与水準を十分考慮し国民の理解が得られる適正な給与水準とするように要請する」とある。これが要請の内容だ。人勧に従いなさいとは一言も書いていない。そんなことを文科大臣は言えない。人勧に従えということは法律違反になるから。ここに書いてあるのは人勧に従えではない。適正な給与水準にすることを要請するということだ。

■折原理事 その通りだ。閣議決定では、「独立行政法人の役職員の給与改定に当たっては、国家公務員の給与水準を十分考慮して国民の理解が得られる適正な給与水準とするよう要請する」、これだけだ。人勧に従えとは一言も言っていない。私も一言も言っていない。本学の基本方針で、給与改定をどうするかという時に「人事院勧告に基づく給与法の改正、労使交渉に要する十分な期間の確保、人件費予算の計画性の確保などを考慮して、翌年4月から実施する」や、「人事院勧告を有力な参考資料として」と言っている。閣議決定が人勧に従えと言っているとは、私は一言も言っていない。

□「国立大学の給与水準や労働条件は労使交渉で決めるべきものだ」「文科省は関知しない」
■そのつもりでいる。

□組合 人勧、人勧と言うから。

■折原理事 本学で民間の調査機能があるわけではない。

□組合 人勧で示されたものとまったく同じではないか。

■折原理事 人勧は国に対する制度だ。まったく同じになるわけはない。

□組合 我々の上部団体に全国大学高専教職員組合(全大教)がある。全大教が閣議決定の翌26日に文科省と会見をしている。そこで言われていることは「国立大学の給与水準や労働条件は労使交渉で決めるべきものだ」「文科省は関知しない」だ。まさにこういう交渉の中で決めなさいと言っている。

■折原理事 そのつもりでいる。

文科省からは要請されていない

■人事課長 先ほどの、閣議が出てからの文科省からの要請の件だが、文科省からは要請されていない。閣議決定のお知らせだけだ。

□組合 閣議決定が下りて来ただけですね。

■人事課長 下りて来ただけだ。

■折原理事 閣議決定だから、大事な話だ。

□実際に執行されてしまうと、給与水準維持のための人件費が不足するのではないか。
■部局長の判断だ。

□組合 法人側の説明の最後の方で、代償措置ともとれるようなことを言っている。夏の交渉の時に代償措置の話があったと。一つは、教員人件費については、本学では渡し切りなので、先日の部局長連絡会議等でも、そのお金については執行計画を求めている、と説明した。執行せよと言ってはいけないのではないか。今話し中だから、それが使われたらどうするのか。今話し合っているのだから、執行せよとは言えない。使われてしまったら話し合いの意味がない。今この時点で、執行を求めるのはおかしい。

■折原理事 法人側の判断として、今回はこういう形で行きたいと役員会で決めた。全部が決まってから執行計画を立てるのでは間に合わない。次期の計画に持ち越せないなどの問題もあるので。

□組合 実際に執行されてしまうと、(給与水準維持のための)部局渡し切り人件費がなくなるのではないか。

■折原理事 執行計画なので。

□組合 まだ合意に達していないのだから、まだ執行するな、と言うべきではないか。

■折原理事 当初の執行計画もある。お金が使われないで出てきた場合、それについてどうするかを、部局長はきちんと考えなければいけない。

□組合 誤解して執行してしまう部局長がいると困る。執行計画を立ててもまだ執行するなと、止めておいてもらわなければ困る。

■折原理事 自分でできる部分とできない部分がある。お金に色が着いているわけではない。基本的に、各部局に渡し切りにしている人件費をどう使うかについては、部局長の判断だ。

教員の不利益4億、計画を執行すればどうなるのか?

□組合 それはおかしい。たとえばここで浮くのは教員の分についていうと0.35ヶ月分だ。全学で約4億4,000万だったか。全体でそれくらいの不利益になると説明された。それについて執行計画を立てて執行して下さいと言ったら、実際、どうなるのか。

■折原理事 執行して下さいとは言っていない。各部局の積み上げの数字としてはそうなる。各部局で差がある。各部局でそれぞれ教育研究なり建物なりの計画がある。建物をつくる時に足りない、余っているところから借りて後で返してもらう等。大学全体の発展につながるように調整しなければいけない。

□組合 それを聞いているのではない。人件費の4億4,000万が浮く予定で、それについての執行計画を部局に立てさせているということを問題にしている。

■折原理事 計画だ。当該部局のためにも全学のためにもなるように調整するのが大前提だ。

□組合 計画は立ててもよいが、執行されたら困る。

■折原理事 部局の状況は様々だから、全体の中で調整しなければ。組合から言われなくても、部局長は十分わかっている。

□引き下げないという部局があっても良いのか。
■だめだ。

□組合 たとえば0.35ヶ月引き下げないという部局があっても良いのか。

■折原理事 だめだ。

□組合 (全部局)一律か。

■折原理事 当然だ。

□組合 つまり部局の判断に任せられないということだ。

□4億4,000万で、今、建物を建ててしまったら困る
■早く処理するための交渉だ。

■折原理事 お金を使わないで、というのはだめだ。

□組合 お金を使わないで、という話ではない。減額しないで給与を払えという要求だ。法人側は4億4,000万浮くということで執行計画を立てている。これでは話が合わないだろう。

■折原理事 合わない。そもそも何を言いたいのかわからない。

□組合 法人側の方針は今のところ、12月のボーナスで教員も職員も0.35ヶ月引き下げるというものだ。そうすると(教員分)4億4,000万が。

■折原理事 使われないで残る。

□組合 しかし、その4億4,000万で今部局が建物を建ててしまったら困る、と言っている。交渉で合意に達する可能性もあるのだから。可能性がないのか。

■折原理事 そのための、早く処理するための交渉だ。わかってほしい。なぜ使うなと言われるのかわからない。

□譲歩しないと言っているようなものだ。
■意見を聞く場もある。

□組合 それでは、譲歩しないと言っているようなものだ。

■折原理事 早く執行計画を立てないと国庫に返納せざるをえなくなる。

□組合 執行を奨励しているわけではないのだろう。

■折原理事 調整がつかないと大学全体のためにならない。

□組合 組合は下げないでほしいと言っている。下げたのを前提として、工事の受注を始めたりするのは良くない。

■折原理事 これは交渉の場だが、意見を聞く場もある。

□執行しないように対応していると回答できないのか?

□組合 法人側は就業規則の不利益変更を実施しようとしているのだから、労働契約法9条、10条の要件を一つずつ満たしていくプロセスが必要だ。それをお座なりにしたまま予算消化が必要だから執行するという。組合は、執行の計画までは良いが、まだ執行すべきでないと言っている。そのプロセスで良いというなら、なし崩しでやるということになる。執行しないように対応していると回答できないのか。

■折原理事 そんなことは、部局長は言われなくてもわかっている。

2つの計画を立てられるような照会

■人事課長補佐 財務部から部局への照会は、凍結された場合のシミュレーションもできるという形で、2つの計画を立てられるような照会になっており、その照会を年度末に向けて何回か継続するというものだと、財務部から聞いている。初めから人勧通りになるということではなく、もし人勧通りになったと仮定した場合のシミュレーションもできるという形で、照会している。人勧通りに決まったとか、執行するなとかではなく、どちらでも可能な照会になっている。

□組合 カットした場合とカットしなかった場合との両建てでやっているということか。

■人事課長補佐 はい。

□組合 それなら良い。使ってしまったら困る。

□シミュレーションの中に、ラスパイレス改善の数値は?
■後年度負担は避けなければならない。

□組合 今財務部ではそういうシミュレーションをしているということだった。先ほど理事は、ラスパイレスを改善するように努力しておりこれからもしなければならないと言ったが、そのシミュレーションの中に、ラスパイレス指数改善の具体的な数値が入っているのか、あるいは今後の到達目標が次期の中期目標の中に組み込まれているのか、あるいは数値を明らかにする予定があるのか聞きたい。

■折原理事 これまで国に対するラスパイレス指数が上がってきている。組合は微々たるものだと言うが、勤勉手当の割当、本給引き下げの実施時期、仙台市以外への地域手当の支給等、努力を積み重ねた結果だ。財政状況の厳しい見通しから、後年度負担になるようなことはできるだけ避けなければならない。優秀者の増員については6月も事実としてやったが、12月も同じように行いたい。

□組合 具体的な数値をあげてほしい。

■折原理事 数値は言えない。どこも公表していない。増員する。

実施時期は検討するが、人勧通りやらないという選択肢はない!?

□組合 今回の執行計画の中には、人的なものがないのではないか。代償措置として計画的なものがあるとは言えない。組合としては、労働契約法10条の要件について聞きたい。教職員への説明会でも周知されるべきことだ。組合はすべてのことについて文書による回答を要求してはいないが、10条の要件については文書でお願いしたい。文書を出さないのならば、せめてはっきり中身を話すべきだ。(先ほど言った)優秀者のことはその中の一つに過ぎない。(あいまいな発言をしているような状況では)誠実に交渉するつもりはあるのかということになる。

■折原理事 これまで変なことをしたことがあるか。

□組合 今回のボーナス・本給の引き下げは、みんな変なことだと思っているのではないか。

■折原理事 本学は国立大学法人だ。運営費交付金を約500億円もらっている。税金だ。他の国立大学法人も同様だ。我々の調査では、選択肢は、(1)人勧通り実施し、今年4月に遡って本給も下げる、(2)4月に遡ることはしないが、12月なり来年1月なり法律が通った時に実施するか、(3)実施時期については検討する、そのどれを選ぶかだ。(3)については意見がほしい。人勧通りやらないという国立大はどこもない。人勧通りやらないという選択肢はない。

□人材育成も効率改善も、企業のコストですべきものだ。
■通常なら、優先順位として回ってこない。

□組合 代償措置についての話をしている。法人案では、職員の人件費が浮く分については、優秀者の割当を増やすこと、その他に研修経費の増額、業務システムの効率改善に役立てるといっている。あとの二つは、企業では人件費を浮かしてやるようなものではない。研修経費は(企業にとって役に立つ)人材育成なので、人件費を浮かして実施するのはおかしい。業務システムの効率改善も同様に、改善することによって企業のコストを浮かそうということだ。どんな企業でも、これを代償措置だと言ったら噴飯物だ。

■折原理事 これらは決して今までやっていなかったことを、今回初めてやると言っているのではない。これまでも努力してきて、ただお金がないからやれないことがあった。今回はお金があるのでやりたい。通常なら本学の中での優先順位として回ってこないようなことだが、今回はできるということだ。

□人件費を浮かせてやれば代償措置になるなら、なんでも代償措置。
■人件費に充てるのは説明できない。

□組合 代償措置として挙げたわけではないということか。

■理事 代償措置でもある。ふだんは回ってこないお金だ。そこに充てる話だ。お金がなくてやれなかった研修や業務改革の推進がある。そのことによって職員個人の職務能率をアップさせたり、楽になったりすることに使いたい。建物だけではなくという発言があったが、大学全体の発展のための判断として、お金があるならこれにも使いたいということになった。

□組合 代償措置にならない。それらは法人が捻出すべきものだ。人件費を浮かせてやれば代償措置になるというならば、すべてのものが代償措置になる。

■折原理事 人件費に充てるというのは説明できない。

□組合 これが代償措置というのはおかしい。

■折原理事 建設的な意見がほしい。

給与カットで浮く財源を使うだけ。代償措置と言わないでほしい!

□組合 確認するが、これは代償措置として言っているのか。

■折原理事 「代償措置その他の関連する労働条件の改善」だ。全部を含めた表現だ。代償措置そのものも、労働契約法の4項目にそって説明した。

□組合 優秀者の増員は代償措置として理解できる。しかしそれ以外は、とくに職員については、システム整備や業務改革の経費がなぜ代償措置になるのか。

■折原理事 それなら「労働条件の改善状況」として考えてほしい。

□組合 代償措置という言葉は使わないでほしい。

■折原理事 わかった。

□組合 代償措置は提案されていないと我々は考える。法人側は、代償措置は提案していないということですね。

■折原理事 4項目の説明の中でそれも考えている。6月期に組合から代償措置の話があったので、勤務成績の優秀者の増員をする。その他に研修経費の充実等の経費に使う。

□組合 今回の給与カットによって浮く財源をこれらに使うということを述べただけですね。

■折原理事 はい。

□組合 代償措置とはとても認められない。人件費の削減として出たものは人件費として使うべきだ。それなら代償措置としての提案と認める。これはとても代償措置にはならない。これが組合の考え方だ。

「人勧」と「基本方針」のせめぎ合い!?

■折原理事 代償措置で職員の給与に充てることは考えられないが、具体的にどういうものに充てるべきだということか。

□組合 人件費で返すべきだ。

■折原理事 人勧と基本方針のせめぎ合いの中で出したのが法人方針だ。その土台を崩すような提案だ。

地域手当はラスパイレスの計算の中に入っている。

□組合 人勧という話が出たので、前回話し合ったラスパイレス指数について聞く。法人側は数値を単純には比較できないと言った。地域手当などが入っているので単純には比較できないとも言ったと思う。私は確かめたが、地域手当はラスパイレスの計算の中に入っている。

■人事課長補佐 (入っていないのは)超過勤務手当と言ったと思う。

■折原理事 間違いなら訂正すべきだ。

□組合 こちらの記録ではこうなっている。国のラスパイレスと比べて低いというが、そもそも国立大学は府県単位機関と、地方の出先機関との中間的な位置付けだ。一般職の国家公務員は独立行政法人になってどんどん外れていっている。それにともなって、本府省・管区の公務員の比率が高まっている。そういう背景がある。地域手当の違いもある。そもそも違うという背景がある。数字だけをもって低いから上げろというのはちょっと違う、というようなことを前回発言されたと思う。

■人事課長 はい。

□なぜ単純に比較してはいけないのか
■過去の流れや国立大学としてのスタート地点

□組合 これではなぜ単純に比較してはいけないのかわからない。わかりやすく具体的に教えてほしい。なぜ比較してはいけないのか。

■人事課長 比較してはいけないということではない。そういった背景が違うので、国が100、東北大が88.8、だから東北大の方が低い、という単純なものではない、ということだ。

□組合 100に対して97や98というのなら誤差の範囲とも言える。しかし1割以上の差だ。誤差の範囲をはるかに超えている。

■人事課長 いくらなら妥当だということか。単純な比較はできない。

□組合 誤差を見込んでも1割以上違う。

■人事課長 1割違えば言えるということか。

□組合 やはり低いのではないか。

■人事課長 100と88ではたしかに低い。しかし過去の流れや国立大学としてのスタート地点もある。

扶養手当や地域手当も含め、東北大学の全職員の給与を全部考慮して人事院で計算。

□組合 必ずしも低くないということか。

■人事課長 低くないとは言っていない。

■折原理事 100と88.8を比べたら、88.8の方が低いに決まっている。しかしその100や88を計算した時の要素や、誰を対象にして計算したのか。同じ組織、同じ構成、同じ仕事で比較した結果ならわかる。計算の仕方や対象が違うのに、単純に言えないのではないか。

□組合 それを具体的に、内容を示してほしいと言っている。単純に比較できないと言われても、話が先に進まない。この数字を使うことはできるのか、使うべきでないのか。扶養手当や地域手当も全部考慮して人事院で計算したということだ。東北大学の全職員のデータが人事院に行って計算される。仙台の大学なら、仙台の地域手当も考慮にいれ、東京なら東京の地域手当も計算に入れている。それで出てきた数字だということだ。地方自治体も同様にラスパイレス指数が計算されている。政令指定都市はすべて100より上だ。町村の公務員でも94とか95だ。それを見ればどう見ても低いだろう。同じ仙台の他の国立大は92.7だ。理事は法人化前から上げたと言っているが、この同じ仙台の国立大は法人化前は86とか88だったと思う。それが92.7になっている。努力したと言われても、これを見ていると努力の跡が見えてこない。2.5上げたというからにはどういう努力によって上がったのか言ってほしい。

■折原理事 先ほど説明した。

□組合 地域手当か。

■折原理事 地域手当もある。

□組合 仙台の公務員よりも高い地域手当が出ているのか。

■人事課長補佐 公務員の支給地以外のところにも出ている。たとえば川渡などは、公務員は0%だが本学では段階的に上げて、現在は3%だ。

□カットしないと、ラスパイレス88→91。
■カットしないという選択肢はない。それが入口の判断だ。

□組合 今回カットしないとどうなるか。組合で計算してみた、大まかな計算だが、ボーナスベースだと7.8%減だが、年間給与ベースで2.1%減だ。公務員が2.1%下がり、本学がそのままだとすると、ラスパイレス指数88だったのが91になる。そのくらいやってもいいのではないか。努力するということで。

■折原理事 ラスパイレス指数も一つの資料なので上がるよう努力するが。

□組合 今がチャンスだと言っている。

■折原理事 後年度に負担が生ずることを見ると、カットしないという根拠も、「社会一般の情勢に適合したものとなるように定められなければならない」「国民の理解が得られる適正な給与水準とするよう要請する」から、そもそもカットしないという選択肢はないのではないか。単にラスパイレス指数が低いからカットすべきではないという議論には、今回の話はなじまない。それが入口の判断だ。

□組合 なじまないと言うが、それはなぜか。理解できない。他の問題もあるので次に進む。

損益計算書と役職員の報酬・給与とのギャップは、退職手当を計上する時期の違い

□組合 損益計算書と「役職員の報酬・給与について」の役員人件費のギャップの件だ。この件は現時点では解決している。法人側資料で、役員の退職手当を計上する時期が2つの資料で違っていることがわかった。こちらも調べた。なぜこの質問を出したか説明しておきたい。今回の法人提案で、もし本給の0.2%引き下げをすると、教員・職員合わせて年間5,000万円の不利益が生ずる。実施時期の問題はあるが、来年度実施の場合でもそこから年間5,000万の不利益だ。その内教員人件費は部局渡し切りなので別にしても、1,400万あれば職員の本給を0.2%引き下げなくてもよい。その財源は随所にあるだろう。たとえば、役員の人件費でわけのわからない大きな数字が、1億や何千万とあった。これは何か、という問題意識だ。今回の本給引き下げによって発生するかもしれない人件費の額との関係で聞いたのだ。この問題は理解できた。

■他大学では人勧通り4月から遡るかどうかといった交渉をしている。
□それは法律違反だ。

■折原理事 問題が解決したことは、互いに理解が深まったので良かった。しかし、そもそも本給を下げないということは、入口の考え方の問題なので難しい。他大学も同様に交渉していると思うが、他大学では人勧通り4月から遡るかどうかといった交渉をしている。

□組合 それは法律違反だ。

■折原理事 そういう交渉をしている。

□組合 やるところはない。

■折原理事 わからない。

□組合 裁判になる。

■折原理事 調べてもらえば良い。

□組合 それをやろうとするとすれば、それは執行部がよほど無能だからだ。

■折原理事 本学は最初からそのようなつもりはなかったし、選択肢としてとらなかった。(給与引き下げを)やらない大学はどこもない。

□組合 今、東北大学と交渉している。

■折原理事 他大学のことも判断材料にはなっている。

□「教員のみなし労働時間15分延長で、事務職員の超勤手当が減る」とは?
■定年引き上げの財源を、今の人件費の中から出さなければならない。

□組合 東北大学と交渉している。給与カットの必要はないというのが組合の主張だが、前回の交渉でみなし労働時間の15分延長という考え方もあると話したところ、それをすると、事務職員の超勤手当が減るという言い方をされた。

■折原理事 教員の人件費は部局渡し切りであり部局管理だ。事務職員、技術職員、医療職員については本部管理だ。法人化の際の算定基準にしたがって分けている。部局の人件費も、事務職員の人件費も厳しくなっている。提案されたのは、教員について15分の超勤手当を一律に払うということだろう。部局による違いもあるが、部局だけでは賄いきれないところもある。国の人勧で2013年度から段階的に65歳まで定年を引き上げる。現在、教員について2011年度からの方針を検討しているが、事務職員の方は現在再雇用だ。有力な参考資料である国の人勧に基づいて本学ではどうするかを早晩検討しなければいけない。教員人件費も職員人件費も仮に引き上げるとすると、その財源はないので、今の人件費の中から出さなければならない。教員人件費と職員人件費の区分は、運営費交付金による区分ではなく、学内での区分だ。2013年度からの方針を議論する時に、現在の予算で賄いきれないから、これをどうするかという大議論をしなければいけなくなる。教員だけみな一律に超勤手当を出してほしいということは、事務職員の給与などいろんなところに影響してくる。だからできないと前回回答した。

□15分は「カット分」にほぼ相当する額。後年度負担ではない。

□組合 なぜ15分かというと、今回もし月例給をカットした場合の、カット分にほぼ相当すると考えている。今回浮いた分は毎年浮く。それに相当する分だ。将来にわたって、運営費交付金が、人件費を減らしたから減るというわけではない。後年度負担というわけではない。下げないのと同じ効果を持つと言っている。

□教員の定年延長分を本部がもつのか?
■渡し切りの中で。

□組合 また今の言い方だと、教員の定年を延長した時に、延長分の教員人件費を本部がもつということか。

■折原理事 とりあえず渡し切りの中で考えなければならない。

□組合 それなら関係ないではないか。

□黒字で、しかもベースが低いので説明できる。
■堂々と説明することはできない。

■折原理事 大学全体として教員人件費と職員人件費を検討しなければならないのは近い将来の話だ。なぜ今回、教員だけにそのような手当をするのか。

□組合 職員については、皆1号俸上げたらどうかと言っている。

■折原理事 今回お金があるからどんな教員についても超勤手当を15%付け、どんな職員についても1号俸上げるということが、説明できるか。

□組合 ベースが低いので説明できる。ベースが高ければ説明できない。また、たとえば夕張市のように赤字ならば説明できない。本学は黒字だ。建物はどんどん建つ。ラスパイレスは1割以上も低い。説明できる。

■折原理事 後年度負担になる。国の人件費削減が進む。運営費交付金が減る。人勧(制度)がどうなるかという議論はあるが、人勧が増の時にどう対応するか。目の前のことだけでなくあとのことも考えなければならない。

□組合 当然だ。

■折原理事 その中でできることを探っている。今回使わないでいるお金を、教員全員に超勤15分、職員全員に1号俸というのはできない。ステークホルダー等に堂々と説明することはできない。

□年度途中で降ってわいた話。根拠がない。
■入口の問題だ。

□組合 それは今回の人勧がなくても考えていなければならない、あるいは想定されていた話ではないか。我々が言っているのは、今回のこのボーナスの話だ。年度途中でボーナスを減らす話が降ってわいたところから始まっている。年度途中で降ってわいた話をどうしてもやらなければいけないことだというのは根拠がない。その説明がされていない。年間を通した所得がつり合えば満足できる。人勧を実行しても、他で人件費を増やしてつり合うようにすることはいくらでもシミュレーションできるのではないか。

■折原理事 全部適合した案がどこにあるか。人勧は人勧の通り実施した、お金は余っているので人件費で使った、では説明がつかないと思う。

□組合 大学のランキングもオープンになっている。東北大は上のランクにある。優良企業だ。一生懸命働いたのに、能率も効率も上げたのに、給与だけは下がっていいと、経営側が判断するのがわからない。

■折原理事 入口の問題だ。運営費交付金をもらっていなければ自由裁量だ。運営費交付金は、国に役立っていることの裏付けだ。待遇改善はきちんとしていかなければいけない。今回のボーナス引き下げで財源があるからこれに使う、というのではなく、切り離して考えなければならない。内外に説明できない。

建物に100億を使い切る一方、給与は目減り。これこそ説明できるのか?

□組合 外部とは何か。

■折原理事 学生、保護者、地域住民、国民、みんなだ。

□組合 100億円位を最終年度に使い切ることは、法人化前ならあり得なかった。他方、教職員の給与は目減りしている。これこそが世間に説明できることなのか。逆にそれが問題になった場合、その責任はとれるのか。

■折原理事 100億を生み出すために、非常に不当に給与を下げたみたいな言い方だが、世間の人は、国並みのボーナスをもらって働いていて、さらに人件費を上積みするのかと思うだろう。それが、今回の人勧や閣議決定の内容だと思う。給与が低いからといって、教職員に何か出したということになれば、大学はゆとりがあると言われるのではないか。

□組合 2010年度以降にどういう形になるか、シミュレーションを示してほしい。何パターンかあるのではないかと思うが。

■折原理事 運営費交付金がどうなるかなど、いろいろな条件がある。

□組合 今の条件に基づいて、このままこうなったらというもので良い。シミュレーションとはそういうものだ。

2つのパターンでの計画について

□組合 教員のボーナスカットについて、2つのパターンでの計画を部局にお願いしているという話があった。それについて聞きたい。

■人事課長補佐 部局には、教員人件費の執行状況の計画をお願いしている。年間でボーナスが0.35減った場合にも、部局でシミュレーションできるような仕組みで、執行計画を出せるよう照会していると聞いている。

□組合 2つのパターンとは何か。

■人事課長補佐 2つとは、カットしないということもできるということだ。

□組合 しないというのは、新たなシミュレーションではないのではないか。

■人事課長補佐 一人ひとりにいくら出るかということでは手数がかかるので、業務改善の一環でシミュレーションできるシステムを。

□組合 年度途中でやっているということか。

■人事課長補佐 やっている。

□組合 その年度内に。

■人事課長補佐 やっている。

□組合 6月に凍結した部分があるので、それを加味して12月はやらないということか。つまり0.15のケースと、0.35のケースについて計算してください、ということならまだ話がわかるが。

■人事課長補佐 年間ベースだ。

□組合 何もしないパターンというのは、4月の時点で予算配分された計画があるので、シミュレーションといっても実態そのままではないか。

■人事課長補佐 考慮しない場合だ。今配分されている予算の中で、今いる教員がカットされなかった場合と、カットされた場合だ。

法人案通りにした場合のシミュレーション。

■折原理事 要するに、法人案通りにした場合のシミュレーションをしてくれということだ。次期の問題もあるので、必要なことだ。

■人事課長補佐 両方できるような形で。

■折原理事 両方というのを2パターンといったと思うが。

■人事課長補佐 はい。

■折原理事 これは部局長にお願いしている話だ。正確な表現が必要ならば。口頭で言っているのか。

■人事課長補佐 部局長連絡会議等の中で、予算の早期執行計画を口頭で説明している。(等には、事務連絡会議(事務(部)長クラスの会議)を含む)

■折原理事 法人案通りになった場合、どのような使い方をするかは、考えておかなければならない。実際にそれが実施できるかどうかは別として。次期の問題もある。時間が間に合わず、余ったが調整もできないということのないようにすべきだ。

具体的には、財務と相談。

□組合 その計画は、具体的に各部局から上がってきているのか。

■折原理事 財務と相談しているだろう。各部局の発展計画がある。教員人件費なので、教育研究費として使うことも検討してほしいと私も言った。

「最広義の人件費」で使うことはありうる。

□組合 部局の裁量の範囲として、何に使っても良いということではないのではないか。たとえば、研究費の増額と施設・設備に使うならば、部局長の裁量に任せるということか。それ以外は認めていないのか。

■折原理事 本部承認が必要なものと、そうでないものがある。

■人事課長補佐 新たに年俸制で雇用することは大丈夫だ。

□組合 人件費に使ってはいけないということか。

■折原理事 ここで言う人件費とは、退職者台帳に載っている教職員の人件費だ。プロジェクトのために何年間かの有期で雇用することは、これまでもあったし今回もあり得る。つまり最広義の人件費で使うことはありうる。建物のために積み立てることもあるし、緊急にプロジェクトが必要な場合、プロジェクトを立ち上げて何年かの有期で教員を雇用するということもあり得る。最広義の人件費は増えており、最広義の人件費として使うことはあり得る。

□いつもより働いている。なぜ給与が減らされるのか?
■申し訳ないと思っている。

□組合 病院の看護師だ。病院は本学の中では現場であり特殊な職場だ。救急医療もあり、今回のインフルエンザもあり、夜間もあり、とにかく走り回って仕事をしている。それなのになぜ給与やボーナスが減らされるのかと、若い看護師からも言われている。大学病院の業務の評価はどのようなレベルになっているのか。看護師自身としては、いつもより働いているという感覚があるが、なぜ給与が減らされるか、それをどう考えたら良いのか。患者は、看護師さん大変ね、と言っている。給与を減らして当然だと思っているのか。

■折原理事 本学の職員の中に、看護師も教員も事務職員も技術職員もいる。給与の根幹にかかわる部分は同じだ。看護師の待遇改善の部分としては、特別に全学の了解を得て、看護師だけ特別な手当を付けたり、病院としても工夫して改善を図っていると思うが、そういう待遇改善の部分と、給与の根幹に関わる部分とでは問題が違う。給与の根幹に関わる部分は全学の共通事項なので、看護師だけを除外することはできない。

□組合 看護師だけ除外してほしいという話ではない。根幹に関わって言えば、現状でも看護師の給与は仙台市など市町村よりも低い。知っていると思う。教員も市町村の公務員より低い。

■折原理事 ラスパイレス指数が低いという話ですね。

□組合 それでも下げなければいけないのか。

■折原理事 一生懸命頑張ってもらっていることはわかる。申し訳ないと思っているが。

□組合 そうは思えない。

■折原理事 本当だ。しかし今回は看護師を除外してくれというのは、問題になじまない。病院の看護師や医師の待遇改善については、今回の給与改定に関係なく、必要ならば、皆の理解を得てやらなければならない。人件費という一つの袋の中の話だ。

□年間5万、10万が減。引き上げようという話とまったく逆。
■頑張っていることを前提として、給与をカットせざるを得ない。

□組合 本学の教職員が現在もらっている給与はどの程度妥当か。人事課長は概ね妥当だと考えているように感じた。理事は現在の数字は十分ではないのでラスパイレスを上げていきたいと考えていると感じた。個別の待遇改善については、具体的な数字で出てくることなのでそういう提案があるのならばぜひ話し合いたい。他方、去年と同じ仕事をし、あるいはそれ以上に頑張っているのに、なぜ給与が下がるのかについては、純粋な気持ちとして納得できない。年間5万や10万が減ってしまうのに、それが妥当だと認めたり推進したりするのは、引き上げようという話とまったく逆ではないか。皆、とても納得できないだろう。方針を、納得できる形で説明してほしい。

■折原理事 待遇を改善するのは大事だ。わかっている。しかし今回の問題は、基本方針と閣議決定に基づいて、給与の根幹の部分をどうするか、という問題だ。両者を切り分けて考えるべきだ。看護師は他の職種に比べて大変かというテーマで、その手当をどうするかという問題は今回の話とは別の問題だ。給与の根幹の部分の問題としては、国家公務員にせよ、去年と比べて頑張っていないからカットするのではない。根幹に関わる共通理解としては、皆それぞれに頑張っていることを前提として、給与を引き下げるということだ。国の職員全体も、他の国立大学法人の職員全体も頑張っていることを前提として給与をカットせざるを得ない。税金を使っているからだ。入口に戻ってしまうが、理解してほしい。

□組合 法人提案は人勧一本だが、組合の要求項目は「期末・勤勉手当および本給を引き下げる労働条件の不利益変更を行わないこと」と「3月の期末手当を復活させて、教職員の一時金を0.1ヶ月引き上げること」の2本だ。2つめのテーマについては、はっきりした回答がない。組合提案は、頑張っている人には手当を出しませんかということだ。やろうとすると、時間が足りないというような問題もあるかもしれないが、検討して次回でもいいので回答してほしい。

■東北大学の給与の水準は、上げなければいけない。

■人事課長 私も、東北大学の給与の水準がこれで良いとは思っていない。理事と同じ考えで、上げなければいけないという認識だ。

□組合 ラスパイレスの比較についてはどうなのか。

■人事課長 それについて(の認識を)言っただけだ。

□数値がまったく同じ。人勧以外に何を考慮したのか?
■「今年4月にさかのぼってカット」を提案していない。

□組合 今回は人勧にしたがって就業規則を変えるという提案ですね。

■折原理事 人勧は有力な参考資料だ。本学の基本方針と閣議決定の要請が大きな判断材料だ。

□組合 数値がまったく同じだ。0.35と0.35、2,500円と2,500円、平均で0.2%と0.2%、まったく同じだ。人勧以外のことは何を考慮したのか。

■折原理事 数字はそうだ。しかしもし実施時期まですべて同じにした場合、今年4月に遡って実施するのか、ということになる。そういう提案はしていない。

今年4月に遡れないのは法律違反だから。それ以外は人勧とまったく同じ。

□組合 4月に遡って実施したいのならば、強行すれば良い。4月に遡れないのは、そもそも法律違反だからできないのだ。

■折原理事 今年4月に遡るべきだという提案はしていない。

□組合 他大学の中には、今年4月への遡及も選択肢にある大学があると言ったではないか。公務員通りなら4月遡及だと言ったではないか。

■折原理事 本学では、その選択肢はとっていない。

□組合 今年4月に遡れないのは法律違反になるからだ。

■折原理事 本学では、その選択肢はとっていない。

□組合 それ以外は人勧とまったく同じだ。では、人勧以外の何を考慮したのか。

■折原理事 基本方針と閣議決定だ。

代償措置について

□組合 説明になっていない。労働契約法第10条には具体的に書いていないが、それに関連する最高裁判例がある。判例によると、代償措置について十分な説明をすること、というものがある。先ほど、システムの整備・改善や研修経費の増額について、これらは代償措置とは言えないのではないかと聞いた。それに対して理事は、代償措置と言ったわけではない、給与引き下げをすると浮く財源があるのでこれを使う執行計画の一環として述べただけだと答えた。

■折原理事 「代償措置」というのは、判例の正確な表現では「代償措置その他関連する他の労働条件の改善状況」だ。労働契約法は新しい法律で、それまでの判例も含めて集約された法律だと理解している。労働契約法第10条の4事項を中心に前回交渉で説明した。これも含めた判断として今回提案した。やはり、国立大学法人の性格をどう考えるかという、そもそもの入口で考え方に違いがあると、今回の話は難しい。

■昇給は、財政を圧迫する。
□カット分は、来年も再来年も浮く。

□組合 もともと低いところから、なぜ下げる必要があるのか。ラスパイレス指数をできるだけ100に近づけていこうとすれば、昇給ペースを上げていく以外に考えられないのではないか。地域手当を増やそうとすれば、これ以上は国民の批判があるのでできないと言うだろう。昇給枠を増やす以外に100に近づく方法はないのではないか。今のところその計画はもっていないように感じた。それならばどのようにして、どのような期間で100に近づけていくのか。

■折原理事 100に近づけるということも一つの指標になるだろうが、少なくとも、前よりも待遇を改善していく。できることからやっていく。昇給も実施したいがもし昇給を実施すれば後年度負担という形で財政を圧迫するので難しい。

□組合 後年度負担というが、先ほど財務課長も言っていたように、給与カットがあったからといって運営費交付金がその分下がるというわけではない。

■折原理事 上がった分の財源は来ない。

□組合 来年も浮き、再来年も浮くのだ。

■折原理事 運営費交付金がどうなるかがわからない。人勧がどうなるかもわからない。待遇改善は別途していかなければならない。皆を一律にという考え方はできない。

生涯賃金としての不利益を計算してほしい。

□組合 努力してきたというが、それが見えないので、要求している。

■折原理事 その努力については、今回の人勧の取扱いとは違う話だ。みんな一緒におこなう根幹の部分と、個別にできる範囲でおこなう待遇改善の部分を分けて考えるべきだ。そもそもの入口で考え方に違いがあると、今回の話は難しい。

□組合 それは役員会で決まっているから既定路線でやろうという話ではないか。このようなやり方は怖い。何か数値的なものがあっていろいろ考慮した結果ここまで来た、というものがない。労働契約法第10条の要件についても、他大学の学長の中には文書で回答しているところがある。言った、言わない、はっきりわからないということにならないように、きちんと文書にすべきだ。とくに代償措置、具体的な労働条件の改善など。不利益の程度についても、今回のボーナスのカットは、まるで一時的なもののように言われているが、一旦就業規則が変われば、来年度も再来年度もその次もずっと引下げられた数字のままでいく。生涯賃金としての不利益を計算してほしい。退職金その他どこまで不利益が積み重なってくるのか。40歳の人はどのくらい、30歳の人はどのくらいといった数字でよい。一時の不利益ではなくずっと続く不利益なので、ぜひ出してほしい。こちらも検討漏れがないようにしたい。合意もないのに全学労使懇談会で説明し話を進めることはやめてほしい。説明資料も決まっているのなら出してほしい。

勤勉手当の優秀者の増員は「代償措置」。研修経費の充実等は「関連する労働条件の改善」。

■折原理事 資料としては役員会の資料を使う。

□組合 労働契約法の要件は。

■折原理事 口頭で説明した。

□組合 「代償措置その他の関連する労働条件の改善」についてはどうか。

■折原理事 労働契約法第10条の文言としては出ていない。6月期に組合から何度も言われたので今回説明した。

□組合 一般職員の研修経費の充実とかを「代償措置その他の関連する労働条件の改善」としてやりたいということか。

■折原理事 そういうことを考えているということだ。

□組合 教員人件費は、部局渡し切りなので部局長判断だ。勤勉手当の優秀者の増員は、代償措置としてやるということで確認してよいか。

■折原理事 はい。

教員人件費は部局で、一般職員については本部で。

□組合 来年度以降、教員人件費削減分で浮くお金は、本部でプールするお金となるのか。つまり、現状では部局渡し切りだが、今回の改定をすれば4.5ヶ月から4.15ヶ月に減るので、差額の0.35ヶ月については、来年度以降は本部でプールするということか。部局に渡すのか。

■折原理事 今の仕組みが変わらなければ、事務職員の分については本部、教員の分については部局だ。

□組合 今年、年度途中で就業規則を変えるとしたらという話だ。今年については、年度の初めに部局に予算を渡してあるので、途中でボーナスの引き下げが決まれば、その差額が浮くだろう。しかし来年4月からは、今回の就業規則改定でボーナスが減らされたところからスタートするので、年度初めに部局に渡す段階で、教員のボーナスの0.35ヶ月分を減らした額で渡すのではないか。

■折原理事 教員人件費は、2004年度の教員人件費から1%ずつ減らして、その金額が部局にいく。必要な経費を本部から部局に渡しているのではない。

□組合 下がろうが上がろうが、部局渡し切りなので、部局でやってほしいということですね。

■折原理事 仕組みはそうなっている。

□組合 一般職員については本部で管理するということですね。

■折原理事 そうだ。2004年度からそうなっている。

教員の総額人件費を、あわせて減額するということはしない。

□組合 この場の議論で、人勧が上がったときのことを想定してと理事は言う。それは本部の議論としてはわかるが、部局渡し切り分を部局は毎年使い切っているのか。

■折原理事 全学教育、高等教育センター、博物館など部局の業務に属さない全学的な業務がある。それらについては教員人件費から本部が5%とって、その経費に充てている。

■人事課長補佐 今の教員人件費配分ルールによると、仮に0.35下がるとすると、一旦は、0.35下がったベースで教員人件費として積算する。そうすると今年度の額に対して来年度の額はその分下がる。その差が生まれる。その差については、各部局にいくべき数字に基づいて按分されて均等に加算されていく。

■折原理事 具体的なベースはそういうことか。

■人事課長補佐 具体的には、0.35下がらないベースが基準なのではなく、0.35下がったベースが基準となるが、部局に渡す教員人件費のトータルは、現在の基準に基づけば差が出るので、調整分として部局のプラスでいくという計算式になっている。

□組合 渡し切りの人件費については、教員なのである程度は理解しているつもりだ。制度をつくった段階でも関与した。書記長からの質問の趣旨はこういうことだ。人件費総額は各部局ごとに決まっている。理事の説明のように、その総額については効率化係数での1%減はある。今回0.35ヶ月を仮にカットした場合には、1%どころではなくかなり減る。その分について、総額人件費をあわせて減額するということはしないという回答だと考えてよいか。

■人事課長補佐 そうだ。総人件費改革の分の教員人件費見合い分の上限等は設定されていくと思うが。

□組合 今の仕組みでは、部局に渡すのは上限を決めているだけだ。残った分は本部に蓄積され、各部局のイヤマークが付くことになる。

人勧が上げるなら、どの部局だろうと上げるようにする。

□組合 今の仕組みでボーナスを上げることはできるのか。

■折原理事 根幹に関わる部分は、大学全体でやる。

□組合 減らすことはできるが、上げることはできないのではないか。

■折原理事 仮に、人勧が給与を上げるということになれば、基本方針に基づいて努力し、案ができれば、どの部局だろうと上げるようにする。

□組合 上がる場合にどこかから持ってくるという意気込みを聞けたのは良かった。下がる一方ではないという話で。

■折原理事 今回はそういうことで下げたい。

□組合 年度単位とか。

■折原理事 無駄には使わない。

□組合 望んで下げてもらっているわけではない。

■折原理事 本学の職員だからだ。

□決めているのは、理事自身だ。
■決めているのは、本学の職員の合意だ。

□組合 そもそもの大問題は、何年かかけた予算プランを立てる時に、人件費を減らしていこうというところから始まったことだ。当初は、解雇はできないので採用を見送るなどしたが、人が減った結果が重労働になった。大きな流れで見ると、また給与を減らすのかという話だ。どこまで負担を増やすのか。運営費交付金は変わらない原資、拠り所としてスタートした。しかし実際の運用ではそれが生かされず、また減らすというのか。

■折原理事 日本全体の問題だ。納税者から見ると、使い方に気をつけてほしいということだ。

□組合 決めているのが理事自身だ。

■折原理事 決めているのは皆の合意だ。皆とは、土台は本学の職員だ。結局、本学がどういう大学かということだ。基本方針があり、それに基づいて判断することになる。

□組合 この案について学内で賛否を問うたら可決されると思うのか。

■折原理事 根幹に関わるところは難しいが、根幹に関わらないところで(努力する)。

根拠、不十分。したがって認められない!
もし引下げるなら、1号俸一律昇給(職員)、みなし労働時間15分延長(教員)などの措置を!

□組合 今回法人側がいくらかでも妥協するのではないかと期待していた。しかし妥協するということはないようだ。現段階での組合の要求、態度を述べる。

これが本日の段階での組合の見解だ。

法人側、妥協姿勢なし。

■折原理事 これまで話し合いをしてその上での見解として受けとめる。
 1点目のボーナスカットについては、ラスパイレス指数の91が実現したとしても、それでもまだ低いという指摘だ。ラスパイレス指数を上げるために今回のことをするということについては、説明がつかないと思う。「国家公務員の給与水準を十分考慮し国民の理解が得られる適正な給与水準」をまだ下回るということだが、別途、待遇改善については、これまで同様に微々たるものかもしれないが努力は継続していく。それとは別に、今回の基本方針、閣議決定の要請については考えなければいけない。待遇改善が必要なことはわかったが、これでボーナスの引き下げをやめるということは難しい。
 2点目の月例給の引き下げについては反対ということだった。
 引き下げを実施するならば、職員については一律1号俸アップ、教員については15分の超勤手当支給、という要求だった。これは説明がつかないと思う。非常に難しい話だ。

□組合 双方とも歩み寄りゼロということになるのか。

役員会自身の基本方針なのだから、法人案の検討は来年4月とする方向ですべきだ。

■折原理事 実施時期について意見はあるか。

□組合 法人提案の代償措置については、組合として検証する。代償措置の内容の是非はともかく、交渉は今日で終わりということではない。本給引き下げの実施時期については、今年4月に遡って本給引き下げを実施するのはだめだ。仮に引き下げるという場合には、役員会自身の基本方針なのだから、法人案の検討は来年4月とする方向ですべきだ。組合としては、法人側に示された代償措置も含めて組合で検討して、再度交渉をもつようにお願いしたい。この件はよいか。

■折原理事 はい。

交渉は継続!

□組合 11月4日に全学労使懇談会をするということだが、団体交渉をしている間に全学労使懇談会をするのはいかがなものか。交渉の結果、妥結するにせよ決裂するにせよ、まず団体交渉を優先してほしい。全学労使懇談会で11月4日があいているのなら、むしろその時間に交渉をしてほしい。全学労使懇談会を延期してほしい。

■折原理事 いただいた話は検討する。

■人事課長補佐 これで団体交渉を終了する。


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