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人事課長交渉報告

組合は、5月15日(木)、以下の要求内容について人事課長交渉を行ないました。

  1. 日々雇用職員の待遇切り下げの動きについて
    1. 長期にわたり定員職員同様に基幹的業務をになってきている日々雇用職員は、定員同様の待遇改善をこそはかるべきであり、パート化や賃下げ等はするべきではない。その見地で部局に対する貴職の指導を求める。
    2. 部局の都合で、現に働いている労働者の賃金や待遇が一方的に切り下げられることは、社会的に許されないし、また責任が問われるのは総長である。全学的に必要な措置をとることを求める。
  2. 国立大学法人移行時における非常勤職員の雇用継続について
     1/17総長交渉で、東北大学が法人化される場合の雇用継承について、「現在の職員は、大学の教育研究に必要なものとして雇われている」「大学としてそこに働く人たちの不安がおこらないようにすることは当然」という趣旨の回答をしている。国立大学法人法案の附則には職員の承継が盛り込まれた。東北大学として、法人への非常勤職員の雇用継承を明言することを求める。

2003年5月15日(木)10:30-11:30
事務局 第2会議室

出席
■人事課:上田課長、芳賀補佐(職員担当)、佐藤(一)補佐(任用担当)、佐藤(克)補佐(給与担当)、長谷掛長(任用第一)、鳥澤掛長(職員第一)
■職員組合側:高橋委員長、坂田副委員長、小野寺書記長、下山書記次長、執行委員、日々雇用職員等計8名

※慣例に従い、冒頭、総務部長から一通りの回答があった後、質疑応答を行いました。

以下、■組合 ■人事課

各要求項目と人事課長による一通りの回答

1、日々雇用職員の待遇切り下げの動きについて

(1)長期にわたり定員職員同様に基幹的業務をになってきている日々雇用職員は、定員同様の待遇改善をこそはかるべきであり、パート化や賃下げ等はするべきではない。その見地で部局に対する貴職の指導を求める。

■人事課 非常勤職員の雇用はこれまで各部局の予算の範囲内で物件費等によって充当している。採用するかどうかは年度ごとに部局の判断で実施している。近年財政状況が厳しくなっており、各部局とも非常勤職員の雇用の経費の捻出に苦慮している。パート化、賃下げは各部局の財政的事情によっておこなっていると認識している。

(2)部局の都合で、現に働いている労働者の賃金や待遇が一方的に切り下げられることは、社会的に許されないし、また責任が問われるのは総長である。全学的に必要な措置をとることを求める。

■人事課 これまで各部局の予算の範囲内で各部局の判断で非常勤職員を雇用してきている。総長は任命権者だが、事務局としては各部局からの上申にもとづいて発令行為をしている。経費は各部局の判断で物件費、教官研究費等を充当している。それについて全学的な措置をとることはできない。現在、業務処理体制の総体的な見直し、法人化後の雇用承継、物件費の在り方等については検討をすすめている。

2、国立大学法人移行時における非常勤職員の雇用継続について

 1/17総長交渉で、東北大学が法人化される場合の雇用継承について、「現在の職員は、大学の教育研究に必要なものとして雇われている」「大学としてそこに働く人たちの不安がおこらないようにすることは当然」という趣旨の回答をしている。国立大学法人法案の附則には職員の承継が盛り込まれた。東北大学として、法人への非常勤職員の雇用継承を明言することを求める。

■人事課 1/17の総長会見の席では常勤職員の身分の継承については制度上検討されているが、非常勤職員を含めて本学が雇用を保障するという表現までは現時点では言えないと回答している。制度上、非常勤職員は1年を限っての雇用だ。現時点では、現在法案を審議中だが、平成16年4月に予定されている国立大学の法人化にともなって運営費交付金による人件費は定員内職員にかかる人件費、外国人教師、非常勤講師の経費、従来から措置されている医員、研修医、看護師等についての非常勤職員手当のみ積算される見通しだ。総体的に物件費が絞り込みされている中で、全学的な組織、事務の見直し等を含めた業務の見直しの中で、これまで実質的に長期にわたって業務遂行のために雇用してきた日々雇用職員をふくめた非常勤職員についての見直しをせまられている。これらを踏まえてこれまで各部局の予算の範囲内、部局の判断で採用されてきた経緯や、長期にわたって業務遂行を担ってきたことから、部局の業務処理体制の総体的な見直し、法人化後の雇用の承継等の取扱いを含めて検討している段階だ。今の段階で非常勤職員の雇用承継・継続を明言することはできない。

質疑

<雇用の継承について>

■組合 法人化時点での雇用継承については、たとえば東大では、局長のレベルで「ほぼ定員削減数と同じ数の定員外職員数」「その業務が重要である」という認識が示され、さらに「雇用の保障は図っていきたい。日々雇用職員については東大として責任をもって身分保障する」とすでに2001年の時点で言っているし、2002年の7月の時点でも「今までの方針を変更する考えはない」ということを確認している。今年に入ってからも1月の局長交渉で「これまでの方針を変える考えはない」「法人化で即雇い止めということはない」という回答がされている。
 名大では、さらに踏み込んでいる。総長交渉で「2004 年3月31日 から4月1日 を境にして大変化が起きないようにしたい。定員外職員の雇用を継続するということは基本的な考えだ」と言っている。さらに、運営費交付金との関係では「人件費分は定員分で、定員外職員は人件費対象職員にならないと考えている。しかし、現行のシステムの中で雇用できるようにやっていかないといけない」といった非常に責任あるふみこんだ大学としての回答がされている。
 東北大でも、今の時点で検討中だということではなく、まずこういった姿勢を明確に出すということがスタートではないかと思うがどうか。

■人事課 こちらの回答としては、現在は検討中ということしか言えない。

■組合 東大、名古屋大ではできて東北大では依然として検討中というのはなぜか。運営費交付金も含めてまだ法案の審議中だからはっきりしないところがある。だが東大や名古屋大では当局の立場としてやるという意思を示している。できないことではなく、する意思がないということだ。なぜできないのか。いつまでに検討するのか。2点回答を求める。

■人事課 検討が遅れている一つの要因としては、全体の東北大の検討が他の大学に比べるとかなりおくれているからだ。たとえば東北大の法人化後の事務体制をどうするか、事務処理の効率化のために会計システムをどうするかなど、具体的な部分でかなり遅れている。総長会見で話があったが、総長もそこまで具体的に掘り下げて検討していないのが現状だ。確かに九州大等、他大学の情報も仕入れて東北大としても検討しているが、トップレベルのところまで行っていない。

■組合 トップレベルとは何か。

■人事課 大所高所での判断が最終的には必要だがそこまで行っていないということだ。法人化後の全体の組織について、教官の組織もだがましてや定員の扱いをどうするかは方向性がまだ見えていない。一番は組織をどうするか、次に人の配置をどうするか、三番目に業務の効率化をはかるために、たとえば管理費の問題もあるが、これをどうするかだ。具体的なところまでは本当のところは進んでいない。現段階での明言は苦しい。

■組合 すでに法案の日程からすると一年をきっている。組織は人だ。東北大の組織を考える上で、常勤の教職員については継承の立場をとっているは、いち早く組織をつくる上で必要不可欠だから明記されているのだ。それと同じように、大学を構成する重要な要素として非常勤職員がいて、補助的な業務という表現もあったが、実際には定員削減の中で基幹的業務を担っている。そうした人たちに対して一年を切った時点で、姿勢として、どうなるかわからないということか。法人化とは雇用の主体として当事者能力をもつことだから、その覚悟と準備をしないと、当事者能力が東北大にはないということではないか。

■人事課 申し開きする材料がない。申し訳ない。

■組合 事務局として他大学の例を調べているということだが、東大、名古屋大についての情報も得ているということか。

■人事課 ここまで詳しくはないが、どういう方向性かという話は聞いている。我々としても他大学の状況を一つの判断材料としたいと考えている。しかし今の段階では、申し開きしようのない検討の遅れで非常に回答が遅れているのは失礼なのだが現状を理解してほしい。

■組合 どういう姿勢で検討しているのか。

■人事課 これまで部局の業務上の都合あるいは予算の範囲内で雇用しているという慣例、なおかつ長期雇用の実態があるということや、他大学の状況をふまえて、それなりの結論を出さざるをえない。現実的に管理経費の問題、組織の問題が残っているので結論にいたっていない。我々としても一年を切っているということもあり早急に結論を出したい。

■組合 必要な人たちだと言うことを一方では明言しながら、法人化の準備が整わないということは現状をかなり維持しながらやるということだろうが、だったらなおさら今いる人たちは雇用継承するというのが当然の結論だ。その後、それをどのように具体的に組織として描くかというのが今実際にやっている作業ではないのか。そのことをなぜ最初に言えないのか。

■人事課 東北大の歴史の中で、部局の業務の都合と部局の予算の範囲内でやっているという二つの命題がある。人事課として何等の指導もしなかったのかというと、最後の三級選考採用が行なわれた昭和60年度の時点でも部局の定員の範囲内で、あるいは部局の日々雇用職員の範囲内で、定員内にあがった人がかなりいる。これもどちらかというと部局主導で行なってきた。今回の問題についても部局の意見も聞かなければならない。管理経費についても、現実として法人化後も部局主導にかわりないようだ。それも踏まえると、結論を出すべきだとは思うが、人事課が踏み込んでこうしたいということはできない。

■組合 今の検討からいくと、いつ頃結論がでるのか。

■人事課 できれば早々にしたい。

■組合 そこまで進んでいるのか

■人事課 下のレベルでは何通りかの考え方がある。しかしそれについて大所高所の意見も聞かなければいけない。

■組合 本来ならば総長、事務局長が基本的な方針、考え方を積極的に示すべきだ。法人化するということはリーダーシップをもつということだから、わからないという状況に流されるのではなく、東北大としてはこういう雇用の方針をもつのだということを総長、局長のレベルで示し、そのもとで事務局のレベルでその可能性について検討するのだろう。その意味で事務局としては苦しいところがあるのだと思う。しかし雇用問題は重要な問題であり、雇用不安がどんどん広がっている。その中でできるだけ早くしかも雇用の継承ということを大学当局として教職員に知らせることは使用する者としての義務だと思う。

■人事課 その通りだ。

<待遇の切り下げについて>

■組合 部局の自治との関係もあると思うが、本部としてこの問題について何等指導していないのか。

■人事課 指導したいのは山々だ。日々雇用職員を定員内にした例は昭和60年度までに100以上ある。全部部局の定員で部局で選考した。ある部局では日々雇用職員を新規採用職員と同じように考えて日々雇用職員も新規採用ポストにあてた。またある部局では全て新規採用として採用試験を通った人しか採用しないという方針をとった。今でもそうだが定員については部局主導だ。他大学のように事務局主導で定員を管理する状況にないのが一番のネックだ。事務局で、たとえばここの定員についてはこういう人材をあて、こういう異動をするという形である程度事務局主導の定員管理がなされていれば指導できるが、東北大はそうなっていない。事務局としても踏み込めなかったという経緯があるし、今でもやりにくい。

■組合 現実に部局の職員の人事に本部がかかわった事例はないのか。

■人事課 ある部局がある人を出したい場合などだ。人事異動はトレードに似ている。成立しえなかった例も過去にはある。管理経費の問題でたとえばパートの代わりに日々雇用職員をといった余裕のあるところと余裕のないところとがある。

■組合 ここ数年の実態としては私のいる部局も含め非常勤職員は数年おきの異動のラインにのっている、異動が定期的におこなわれているという実態があるのではないか。

■人事課 必ずしもそうではない。お金にからむ問題なので、相互に需要と供給が一致した時には異動はあるが実際には難しい。

■組合 各部局のそれぞれの関係で異動が行なわれているとしても、あくまで任命権者は総長だから、最終的には、問題がおこった時には、大学として責任をとる、対応することが求められてくる。そういう問題として最近いくつかの部局で起きていることは、正規職員にあがるということではなく、待遇の切り下げだ。一つの部局というより、大学全体としてそういう方向に進んでいるのではないかという危惧をもつ。法人化後は労基法が適用されるが、労基法の考え方でいうと許されないような待遇切り下げが実施されている。今の身分だと労基法が適用されないということだが、考え方としては労基法の考え方に則することが当然だろう。そういう問題があるということは本部として認識しているか。

■人事課 2月の人事課長補佐会見でそういう具体的な実態について聞いた。情実的に考えると遺憾だ。一方、予算の範囲内でやったといわれるとつらい。人事課サイド、事務局サイドとして管理経費に対して指導するということは、これまでも踏み込んでいないし現在も踏み込めない。

■組合 心情的には問題があるということか。

■人事課 心情的にはだ。

■人事課 それは個人的な見解だ。

■人事課 あくまでも個人的な話としてそういうことはあろう。事務局サイドからの一般論として、部局の方で予算がないから事務局の方でなんとかならないかと言われれば、我々のところでは判断できない。

■組合 一般社会の常識で言うと、会社のある部門で物件費がきつくなったから、それを充てて雇用する形になっている従業員を待遇切り下げしていいのかという話になれば、会社全体としての責任だろうということに当然なる。東北大も考え方としてはそうならなかったらおかしい。慣例として大学の中で部局の権限だという慣例があったとしても、責任はやはり大学そのものに残るのではないか。つまり、大学の責任で不利益変更を容認したということではないか。

■人事課 その辺が難しいところだと思うが、歴史的な背景がある。定員についても、総長の権限で事務管理しているかというとそうではない。管理経費についても予算自体が部局ごとの予算としてくるのでなかなか踏み込めない。確かに任命権としての総長の責任は当然あると思うが、業務上、部局の予算については現在のところ総長でも及びえない。

■人事課 労基法上問題になるのではないかという発言があったが、どういうことか。

■組合 それは一方的な不利益変更だ。

■人事課 一方的な不利益変更か。日々雇用職員、パート職員は年度を限って雇用している。次の年度に採用するかどうかは、その時点で予算と雇用条件を提示してそれでよければ採用することが非常勤職員の制度上の原則だ。

■組合 何年更新されているのか。

■人事課 それは実態だが、制度上はそういう建前になっている。実態はあったとしてもそれでもって不利益処分とはならないのではないか。

■組合 なるのではないか。契約上はたとえば三年期限で雇用されている場合、一年でもいいが、それが十年、二十年と実態として継続して雇用されていれば、継続して雇用しているということで身分が保障されるはずだ。

■人事課 それは労基法上はそうしなければならないということか。

■組合 そうだ。

■人事課 現在の国公法上は判例等からいって違法ではないという扱いだ。

■組合 それについては一つ紹介する。10/15に岡山中央郵便局の非常勤職員問題で岡山地裁が判決を出している。それによると、非常勤職員の実態について、臨時的という「本来想定された態様とは異なり、恒常的、継続的な定員不足を補うために日々雇用職員として採用したものであることは明らか」だと認定した上で、「その適法性に疑問が生じる」と言っている。それに続けて「本件の期限付任用は、国公法上の根拠があるかどうかにつき疑問がある一方、公務の民主的かつ能率的な運営を阻害することなく、職員の身分保障を妨げないことが前提とされる限りで、違法とまではいえないと認定できるところであり、したがって、本件の期限付任用の内容は職員の身分保障を妨げないものでなければならず、信義則や、権利濫用が許されない旨の民法1条所定の法規整が及ぶものというべきであって、本件雇止めにも解雇権濫用法理の類推適用の余地がある。」と言っている。

■人事課 雇用者側にも使用者側にも何等の条件の変更がない場合にはということか。

■組合 公務員の非常勤職員であっても、自由自在に年度末をもって雇い止めしていいというものではないということだ。実態として何回も更新しているし、大学の例だと何十回も更新している。一日間をあけたなどという理由が通用するかというと、この判決の理由付けの趣旨からいうと理由にもなっていないと思うがどうか。

■人事課 これまでの判例でいうとほとんど国公法上は問題なくできると思う。

■組合 組合が言っているのは判例のことではなく、岡山中央郵便局の非常勤職員問題についての10/15の岡山地裁判決だ。

■人事課 基本的に問題がないということだろう。

■組合 基本的に問題がある。ないとすれば身分保障を妨げない限りにおいてだという認識が示されたということだ。

■人事課 身分保障を妨げないというのはどういう意味か。

■組合 公務員である非常勤職員が必要があって採用されて現実に基幹的業務を果たしているという実態があるのに、年度末をもって別人格だと、雇おうと雇うまいと裁量の問題だと、そういうことが許されないということを言っているのだ。

■人事課 それは違うと思う。たとえばこちら側で昨年度と違う状況が業務上あるいは予算上生ずれば、それは濫用ではないと思うが。

■組合 合理的に、具体的に理由付けがされれば。

■人事課 そうだ。

■組合 東北大の場合にされるのかという今度は具体的な問題になる。

■組合 研究所そのものが存立しないといった合理的な理由があれば変更も可能だが、物件費が足りなくなったからというのは理由にならない。事例としてあげた非常勤職員についていえば、実態として部局間で異動もしている。状況としてはたまたま異動した先の予算が足りなくなってきたということだ。一つの部局を超えて雇用が継続されているのだから、大学として何等関わらない、部局の問題だということにはならないのではないか。

■人事課 少なくとも非常勤職員の異動については、事務局主導ではなく、部局間の相互理解の中で行なっている。我々としてはそこまで現実的には踏み込んでいない。

■組合 それは責任を放棄するということか。

■人事課 長年の大学の慣例だ。ある時突然これでは不都合だから事務局でなんとかしろと、こちらからすると急に振り上げたこぶしを事務局に振り向けられても非常につらい。

■組合 心情的には理解するが、大学という組織の中では許されないことだ。つまり部局が責任をとるか、本部として責任をとるかだ。状況からいうと、これまでの経緯や部局の裁量はあるだろうが最終的には大学として責任をとる、こういう状況があった時には大学として対応をとるのは当然のことだ。無責任体制で仕方がないというのは理由にならない。

■人事課 これまでの経緯としては現実にそうなっている。これからもそうだということではない。日々雇用職員から定員内職員に採用するにあたってもあくまで部局の判断でやってきた。我々としてもなぜその人があがるのかという疑問はあっても、部局の判断という慣例があるので踏み込んでこなかった。そういう問題が積み残しのまま現在にいたっている。将来に向ってどうするかと言われると返事に窮するが、現在まではそうだ。

■組合  考え方の問題として、法人化後は許されないことだ。

■人事課 定員の問題も一番大きいのは組織だ。東北大の法人化後の組織をどうするか。定員の配置をどうするか、管理経費が少ないと言われている問題について何もしていないのではないか。組織の担当は我々ではないが、組織の部分でも早急に検討して結論を出してくれといっている。組織が決まらないと何も決まらない。遅れについては個人的には反省しているが、現実には進んでいないので回答できない。我々としてもつらい。

■組合 現実に常勤並みあるいはそれ以上に仕事をしている人たちに今日は同席してもらっている。生の声を聞いてほしい。

■組合 工学分館で働いている。私の部署では定員削減のため定員は係長と職員一人しかいない。定員と同じ8:30から17:00までという勤務体制の中で定員の減った分の仕事もそのまま担っている。表向きは非常勤職員だから責任をもってやっているという形ではないが、実情は責任をもって仕事をしている。30年以上ずっと同じ部署でやってきたという人もいる。法人化で継承されないとすれば今までやってきたことが空しい。ずっと60歳まで働けると思って仕事をしてきた。仕事で新しいことを覚えなければいけない時に、常勤職員は遠くまで研修にいけるが、私達は自分で努力してきた。パートに切り下げられた人たちもみんな一所懸命やってきた人たちだ。定員だけが東北大の職員ではなく、非常勤職員も東北大の職員だ。法人化後も継承してほしい。

■組合 私は工学部にしかいたことがないが、歴代の研究科長は教官と事務とは車の両輪だと言っている。今度、東北大は理念として真理の追求を掲げている。教官だけが真理を追求して、その下の事務のかなりの部分を支えている非常勤職員が理屈に合わない状況におかれていては大学全体として真理の追求はありえない。労働側の真理としては同一労働同一賃金だ。同一労働同一賃金は全世界どこへ行っても真理だ。東北大の労働に、非常勤職員がかなりの部分をしめていることもまったく無視されている。25年30年、四半世紀以上働いている。一年ごとの更新だというが、今まで法人化の話があるまでは首を切られるというようなニュアンスのことはほとんどなかった。仕事は全く同じだ。ある種の常勤よりはやってきたという自負も持っている。人事課の立場もあるだろうが、ただ困るとか困らないといった心情的なレベルの話ではない。パートに切り下げられたら明日から食べるものに困る。真理の追求と言うのなら事務組織まできちんとした体制をとるべきだ。
 同じ職場で全く同じ仕事をしていながら常勤と非常勤という違いがあることは、職場の融和にも非常に大きな影を落としてきたことは否めない。たとえば図書館のシステムに非常に詳しい非常勤職員がワーキンググループからは外された。そういう能力、人材を非常に無駄にしているのではないか。物件費がないというが、物品費も何費も結局国民の税金ではないか。物品費がないならもらってきてほしい。東北大の無駄ということなら大変な無駄があるし、別室でいくらでも教えてさしあげる。そういう無駄を全部はぶいてそれでも非常勤職員の待遇を下げるというのならまだしも、25年30年働いてきて単に物品費が少ないからということで明日からパートになってくれ、しかも三年期限付きかもしれないとは、こんな状況で真理の追求ができるのか。
 部局部局と言うが、私達は希望しなくても他の部局に異動させられている。部局を変わって今度パートになった人は本当に気の毒だ。本学の事務局として最先端の情報を集めていなければならないはずだ。組合から言われて後から情報を集めるようでどうするのか。その人たちの生活はどうなるか。
 25年30年というのは一年ごとの更新という問題ではない。判例的には確立していないかもしれないがそういう問題ではない。私は強い怒りを覚える。東北大は女子の入学を全国に先がけて認めたそうだが、真理の追求を言うのなら、思いきって全国に先がけて全員定員化の方向を打ち出したらどうか。一躍有名になるはずだ。20年30年働いてきて、明日からパートになれなんて、それでは私達の人権はどこにあるのか。

■組合 この声は例外ではない。人事課も実際はそう思っているのではないか。人事課長、何か言うことはないか。

■人事課 大学内部の事情がある。皆さんの心情は理解するが、法人化後の不透明な部分が大きいので、現時点で確約する段階ではない。我々としてもできる限りの検討、努力はしていきたい。

■組合 組合は法人化の内容そのものが不備だということは認識している。人事に関わる部分については危惧をもっている。不透明、不確定なところが多いというが、しかし法人化の趣旨は、法人としての個性、独立性、柔軟性をもつ、あるいは法人として方向を持てるということが一番大事なことだ。大学が法人化されるとしても人を生かす組織として移行を考えてほしい。そこの考え方が教職員に、非常勤職員も含めて示されないということが一番大きな不安要素となっている。実際検討して不確定な部分も大きいから実現が難しいということがあるかもしれないが、基本的には東北大としては身分の継承を考え方としてとるのだと、それぐらいは言えないものなのか。それは原則だ、原則だから状況によっては難しいということもありうるだろう。それは東大、名古屋大、それから東北地区の岩手大などでも基本的な姿勢として踏まえるのだということを組合に対して言っている。それが言えないということは違うことを考えているのではないか。ぜひとも早くしてほしい。

■人事課 法人化後は現在の国公法体系から労働法の体系に移る。それを踏まえて制度設計をしなければいけない。できるだけ早めに職員に不必要な不安を感じさせないようなことはしなければいけない。具体の中身を示せるところまでいっていないことは申し訳ないと思っている。


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